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不整脈(心電図異常)

心電図の異常を指摘された方へ

心電図検査で異常が見つかった場合、精密検査を受けることが大切です。ここでは、心電図検査の意味や異常が見つかった際の対応について詳しく説明します。

心電図異常とは

心電図異常とは心電図は、心臓の電気的な活動を記録する検査です。心臓の筋肉(心筋)に電気信号が伝わり、心臓全体が刺激されることで拍動が起こります。心電図では、この電気信号の伝わり方や規則性を調べます。

心電図異常の原因

心電図異常とは、心臓の電気信号の流れが「正常でない」、または「不規則」である状態を指します。
異常の原因には主に、病気ではないもの(治療は不要)、病気によるもの、不整脈の3つがあります。
不整脈が無症状の場合でも、突然重篤な状態になることがあります。
心電図で異常が見つかった場合は、必ず循環器科を受診しましょう。

原因と治療の必要性

病気ではないもの(正常亜型)
  • 右脚ブロック(生まれつきの場合)
  • 呼吸性洞不整脈(若い方に多く見られる呼吸による脈の乱れ)
治療が必要になることがあるもの
  • 心室期外収縮
  • 心房期外収縮
精密検査・治療が必要なもの
  • 心筋虚血、狭心症、心筋梗塞
  • 心房細動、心房粗動
  • 完全房室ブロック

不整脈とは

不整脈は、心臓の脈の打ち方が乱れる状態です。正常な心臓の動きは以下の通りです。

  1. 洞結節(心臓上部)で電気信号が発生
  2. 心房(上の部屋)に電気が広がる
  3. 房室結節を通って心室(下の部屋)に電気が流れる
  4. 心室全体が収縮し、全身に血液を送る

正常な脈は1分間に60〜100回です。不整脈はこの電気信号の発生や伝わり方に異常があり、脈が乱れる状態を指します。

頻脈 心房頻拍
心房細動(粗動)
発作性上室(心房
性頻拍
心室頻拍
心室細動
WPW症候群
徐脈 洞不全症候群
房室ブロック
期外収縮 心房性期外収縮
心室性期外収縮

不整脈の種類ごとの症状

徐脈性不整脈

頻脈性不整脈には以下のようなものがあります。

  • 心房細動・心房粗動・心房頻拍
  • 発作性上室性頻拍
  • 心室細動・心室頻拍

特に心房細動は脳梗塞の原因になることがあります。心室細動・心室頻拍は突然死の危険性があり、重篤な不整脈です。

症状

  • 動悸
  • 息切れ
  • めまい・ふらつき
  • 冷や汗
  • 失神(重度の場合)

など

頻脈性不整脈

徐脈性不整脈には以下のようなものがあります。

  • 洞不全症候群
  • 房室ブロック

症状

  • 倦怠感
  • 息切れ
  • めまい・ふらつき
  • 冷や汗
  • 失神(5~10秒近く鼓動が止まる場合)

など

期外収縮

期外収縮は、時々脈が飛ぶ不整脈です。30歳以上の方では健康な人でも見られ、年齢とともに増加します。多くの場合は問題ありませんが、頻度が増えたり、症状が強い場合は治療が必要になることがあります。

症状

  • 胸の違和感
  • 動悸
  • 脈が飛ぶ感覚

など

不整脈の原因

不整脈の原因不整脈には様々な原因がありますが、主に以下のようなものがあります。

病気

心臓の病気

  • 心筋梗塞
  • 心筋症

など

これらの病気により心臓の筋肉が傷つくと、電気信号の伝わり方に異常が生じ、不整脈が起こりやすくなります。

心臓以外の病気

  • ホルモンの異常
  • 血液中の電解質バランスの乱れ
  • 自律神経系の問題

など

これらは心臓の働きに影響を与え、不整脈の原因となることがあります。

その他の病気

  • 高血圧
  • 肺の病気
  • 甲状腺の異常

など

これらの病気がある方も不整脈が出やすいことがわかっています。

薬の副作用

心臓病などの治療薬が不整脈を引き起こすこともあります。心配な場合は、主治医や薬剤師にご相談ください。

先天性・加齢・ストレスなど

先天性

生まれつき心臓の電気信号系統に異常がある場合があります。

加齢

年齢とともに心臓の電気信号系統の機能が低下することがあります。

生活習慣

  • 高血圧
  • 喫煙
  • 精神的ストレス

など

これらが複合的に作用して不整脈を悪化させる可能性があります。

不整脈を放置すると起こる病気・リスク

不整脈の中には一時的なものもありますが、疾患が原因の場合は早急な治療が必要です。
例えば心房細動を放置すると、次第に不整脈が1日中続くようになり、心臓の機能が低下します。進行すると、短い階段を上がるのもつらい、歩くのもつらいといった「心不全」の状態になることがあります。

不整脈の検査・診断方法

不整脈の検査・診断方法軽度の不整脈は30歳を超えると誰にでも起こる可能性があり、多くの場合は問題ありません。
しかし、以下のような場合は治療が必要な不整脈と診断されることがあります。

  • 自覚症状がある
  • 1分間に40回以下の徐脈がある
  • 1分間に120回以上の頻脈がある

不整脈の治療

不整脈の治療には以下のような方法があります。

生活習慣の改善

不整脈の程度に関わらず、生活習慣の改善は重要です。

  • 規則正しい生活
  • 十分な睡眠
  • ストレス解消
  • 禁煙
  • 禁酒または適度な飲酒
  • カフェイン摂取の制限

など

薬物療法

医師の判断により、以下のような薬が処方されることがあります。

  • 不整脈を止める薬
  • 不整脈の発生を予防する薬
  • 症状を緩和する薬

など

ペースメーカー

薬で改善しない場合や症状が重い場合は、ペースメーカーの埋め込みを行うことがあります。ペースメーカーは小さな機器で、体内に埋め込んで24時間脈を測定し、必要に応じて電気信号を送ります。

カテーテル治療

カテーテルアブレーションという方法では、細い管(カテーテル)を心臓まで通し、不整脈の原因となる部分を焼灼または冷凍凝固して治療します。