TOPへ

糖尿病

糖尿病の症状・チェック方法

初期症状=ほとんどない

初期症状=ほとんどない糖尿病は早期発見・早期治療によって合併症を予防することが重要な病気です。しかしながら、糖尿病には初期症状がほとんどありません。
早期発見には健康診断などの定期的な検査が不可欠ですが、以下の症状が現れた場合は血糖値がかなり高くなっている可能性があるため、すぐにご相談ください。

糖尿病で現れる自覚症状

のどが渇く・多尿

「のどがよく渇く」「水分をたくさん飲む」「尿がたくさん出る」は、血糖値が高いサインでもあります。これは、高血糖になると尿中のブドウ糖が増え、それに伴って尿の量も増加し、脱水症状を引き起こすためです。

倦怠感・疲れやすい

特に何もしていないのに、すぐ疲れたり、だるくて動けなくなったりしませんか。これは、インスリンの作用不足によってブドウ糖をうまく使えなくなり、体がエネルギー不足に陥っている可能性があります。

体重減少

たくさん食べているのに、体重が減っていく状態も糖尿病のサインの1つです。糖尿病は太るとなりやすいイメージがありますが、重症の糖尿病では体重が減ります。前述のエネルギー不足を補うために、筋肉や脂肪が使われてしまうからです。

合併症によって現れる症状

視力低下・視野が欠ける・かすむ

糖尿病網膜症になると、視力に異常が現れます。進行すると失明することもあります。

手足のしびれ

糖尿病神経障害により、手足の先がビリビリ、ジンジンとしびれたり、痛みが出たりすることがあります。感覚が鈍くなり、足の裏に皮が一枚張っているような感覚や、痛みを感じにくくなることもあります。

足のむくみ

糖尿病性腎症が進行すると腎不全になり、手足や顔がむくむ症状が現れます。

立ちくらみ

自律神経の障害により、立ちくらみがよく起こるようになります。便秘・下痢、汗をよくかくようになるのも自律神経障害の症状です。

傷が治りにくい

血糖値が高い状態が続くと体の抵抗力が低下するため、「傷が治りにくい」「感染しやすい」という状態になります。神経障害による痛みの感じにくさも重なると、傷があっても気がつきにくくなります。ひどい場合は、足の水虫が悪化して、足壊疽を起こすこともあります。

糖尿病とは?1型・2型の原因は?

糖尿病とは?1型・2型の原因は?糖尿病とは、インスリンの作用が不十分で血中のブドウ糖が有効に使われず、血糖値が高くなっている状態のことで、その原因により4つのタイプに分けられます。

1型糖尿病

膵臓にあるインスリンを分泌する細胞が破壊され、インスリンが出なくなるため慢性的な高血糖状態となり、糖尿病を発症します。子供や若年者に多く見られます。

2型糖尿病

遺伝的な体質(インスリン分泌低下、インスリン抵抗性)に過食(特に高脂肪食), 運動不足, 肥満、ストレスなどの生活習慣や加齢といった要因が加わり、発症するとされています。日本の糖尿病患者さんの約90%が2型糖尿病と言われ、主に中高年以降に見られますが、若年者の発症も増加しています。

その他の糖尿病

遺伝子の異常や、他の病気や薬剤によって発症するケースもあります。

妊娠糖尿病

妊娠中はわずかな高血糖でも胎児に影響を与えるため、糖尿病に至っていない糖代謝異常の状態でも「妊娠糖尿病」と呼びます。妊娠中に胎盤が作るホルモンが、インスリンの働きを抑える作用もあるため、血糖が上昇します。肥満、高齢妊娠、家族に2型糖尿病患者がいる、過去の妊娠で高血糖を指摘された方は起こりやすいとされています。

糖尿病の検査と診断

糖尿病の検査には血液検査と尿検査があり、両検査を行うことが望ましいです。

血液検査

血糖値

血液中の糖の濃度を調べる検査です。血糖値は食事の前と後で値が変わり、空腹時だけでなく食後2時間後の血糖の状態をみることでインスリンが正常に働いているかを確認することができます。

HbA1c

赤血球の中に含まれるヘモグロビンの中でブドウ糖と結合した割合(%)を調べる検査で、約1〜2ヶ月の血糖の状態を把握することができます。
健康診断の前だけ生活習慣を改善すると、その時だけ血糖値を下げることは可能ですが、HbA1cの値は改善させることができません。

尿検査

尿蛋白の主成分である尿中アルブミンの検査は、糖尿病の合併症である腎機能障害を早期に発見できる検査です。尿中アルブミンが出ている場合は将来的に人工透析になるリスクが高いとされています。

【診断】

血液検査の結果が以下の条件にあてはまる場合、糖尿病と診断されます。

①血糖値

  • 早朝空腹時血糖値:126mg/dL以上 または
  • 75gOGTT2時間値:200mg/dL以上 または
  • 随時血糖値:200mg/dL以上

②HbA1c6.5%以上

糖尿病の治療方法

慢性的に血糖値の高い状態が続くと、糖尿病の合併症によってQOL(生活の質)が低下し、寿命に影響を及ぼすようになります。そのため、糖尿病であっても、血糖値を良い値に保ち、糖尿病がない人と同じ健康寿命を目指すことが治療の基本になります。これを、「血糖値のコントロール」と言います。

血糖値のコントロール方法

食事療法

食事療法食事をすると、身体に糖が取り込まれます。身体に取り込まれる糖の量やエネルギーのバランスなどを調整するのが食事療法です。

運動療法

運動をすると、身体の中にある糖が使われます。また筋肉量が増えると、糖を身体に取り込みやすくなります。さらに脂肪を減らすことで、血糖値を下げるインスリンが効果を発揮しやすい環境を作ります。

薬物療法

薬物療法には内服薬と注射があります。内服薬では、インスリンの分泌を良くするもの、効きを良くするもの、食事でとった糖の分解・吸収を遅らせるもの、糖の排出を促すものがあります。注射には、インスリンの分泌を促すものや、インスリンそのものを外から補うものがあります。

体重・血圧・コレステロール値のコントロール

体重・血圧・コレステロール値のコントロール肥満や高血圧、脂質異常症は、糖尿病と同じく動脈硬化や内臓の障害に影響しますので、体重・血圧・コレステロール値もコントロールすることが大切です。

体重

標準体重(kg)= 身長(m)×身長(m)×22
標準体重(BMI=22)より多い方は標準体重を目標に、現時点でそれよりかなり体重が多い方は、今の体重を5%減らすことを当面の目標とします。

血圧

糖尿病の方の目標値
収縮期血圧:130 mmHg未満
拡張期血圧:80 mmHg未満
※脳血管障害・冠動脈疾患のある方
  140/90mmHg未満
※75歳以上の高齢者の方
  150/90mmHg未満
※無理なく下げられるのであれば
  140/90mmHg未満

コレステロール値

LDLコレステロール:120 mg/dL未満
 ※冠動脈疾患のある方:100 mg/dL未満
HDLコレステロール:40 mg/dL以上
中性脂肪(早朝空腹時):150 mg/dL未満

糖尿病を予防するには

次の項目に多く当てはまる方は、糖尿病になるリスクが高いため、注意が必要です。

  • お菓子やジュースなど甘いものが好き
  • 脂っこいものが好き
  • 野菜はあまり食べない
  • 太っている
  • お酒をたくさん飲む
  • タバコがやめられない
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • ストレスを抱えている
  • 親や兄弟姉妹に糖尿病の人がいる など

適切な食材・食事を選ぶ

適切な食材・食事を選ぶ糖尿病が心配な人が積極的に摂りたい食材は、食物繊維が豊富な野菜や海藻、キノコ類です。
反対に、甘いものや糖質が多い主食、脂肪が多い揚げ物は控えましょう。
食事時間が不規則だったり、食事を抜いたりすると、インスリンの働きが悪くなるため、1日3食の規則正しい食事を心がけ、朝食は必ず摂るようにしましょう。
健康的な食事の基本は、必要なエネルギーを摂り、糖質、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素をバランスよく摂取することです。
また、食べる順番も重要です。まず野菜を食べ、後から主食を摂ると、食物繊維の作用で主食の糖質がゆっくりと吸収されます。さらに、よく噛んで食べることで、食べ過ぎを防ぐことができます。

適度な運動を定期的に行う

適度な運動を定期的に行う運動は、肥満を防ぐだけでなく、インスリンの働きを改善し、血糖値を下げやすくします。
運動で大切なのは、毎日コツコツ続けることですので、手軽に始められるウォーキングがおすすめです。食後に10~30分のウォーキングを週に少なくとも3日行うことを目標にしましょう。
運動時間が取れない人は、階段を使うなど、日常生活の中で体を動かす時間を増やす習慣をつけましょう。
すでに糖尿病と診断されている人は、運動による低血糖のリスクがあるため、医師に相談してから運動を始めるようにしましょう。

ストレスを緩和する

ストレスがかかると、血糖値を上げるホルモンのコルチゾールやアドレナリンが分泌されます。
心身の疲れを感じたら、ひどくならないうちに休養をとり、回復に努めましょう。適度な運動や趣味を楽しんでリラックスすることも効果的です。
睡眠不足も血糖値を上げる要因となるため、寝室の温度や照明を調整し、心地よく眠れる環境を整えましょう。

アルコールとおつまみを選ぶ

多量飲酒は糖尿病の発症リスクの1つです。お酒はカロリーが高く、一緒に食べるおつまみも高カロリーのものが多いので、飲酒の機会が多いと肥満のリスクが上がります。
お酒を飲む場合は、飲み過ぎないことと、おつまみは枝豆や焼き鳥のような高タンパク質・低カロリーのものを選ぶよう心がけましょう。

禁煙する

喫煙が2型糖尿病のリスクを高めることは研究で明らかになっています。
タバコを吸うと、ニコチンが交感神経を刺激し、血糖値を上げるホルモンが分泌されます。また、タバコに含まれる有害物質はインスリンの働きを妨げます。
さらに、喫煙は糖尿病リスクだけでなく、様々な健康被害を引き起こしますので、喫煙の習慣がある方は、早めの禁煙をおすすめします。
当クリニックでは禁煙外来を設けていますので、禁煙に挑戦したい方は、ぜひご相談ください。