高尿酸血症とは?
尿酸は、プリン体が分解されることで生成される老廃物で、通常は尿とともに体外へ排出されます。しかし、尿酸の排出がうまくいかず、体内に蓄積されると血中の尿酸濃度が上昇します。
血中の尿酸値が7.0 mg/dL以上となる状態を「高尿酸血症」と呼びます。
痛風との違い
高尿酸血症は、血液中の「尿酸値」が高くなっている状態のことです。
この状態が続いた影響で関節内に尿酸の塊(結晶)ができ、痛みを伴うようになった状態を「痛風」と呼びます。
高尿酸血症の症状
高尿酸血症自体は無症状ですが、痛風を発症すると、足、膝、腰、肩、肘、手など全身の関節に激しい痛みが生じ、関節が赤く腫れあがります。
初期の痛みは一時的ですが、再発を繰り返すたびに痛みが増し、持続時間も長くなり、慢性化します。
高尿酸血症の原因
高尿酸血症(通風)の発症には、遺伝とその他の原因が関係し合っていると報告されています。
- 尿酸が排泄されにくい、尿酸を作りすぎてしまうなどの遺伝的要因
- プリン体を過剰摂取している
- アルコールを過剰摂取している
- 肥満 など
お酒の中では特にビール、食品の中では干物やレバーなどがプリン体を多く含むことで知られています。
女性が発症する原因
女性ホルモンには尿酸の排出を促す働きがあるため、痛風の9割は男性患者で、基本的には女性の痛風患者は少ないとされています。
しかしながら、最近では女性の痛風患者が増加傾向にあります。原因は、過食や運動不足など、女性のライフスタイルの変化が大きく関係しています。
特に女性ホルモンの分泌が減ってくる更年期を迎えた女性は注意が必要です。
高尿酸血症(痛風)の検査方法
高尿酸血症は、血液検査と尿検査によって診断されます。
血液検査で尿酸値が7.0mg/dL以上の場合、高尿酸血症とされます。尿検査では、腎臓の状態を確認し、以下のタイプを特定します。
- 尿酸排泄低下型(尿酸の排泄が低下している)
- 尿酸産生過剰型(尿酸が過剰に作られている)
- 腎外排泄低下型(便による排泄の減少)
- 混合型(すべての要因が含まれる)
痛風が疑われる場合の検査
痛風が疑われる場合、血液検査を行いますが、痛みがある時や直後では正確に尿酸値を把握できないため、後日に再検査を行います。
関節液検査や痛風結節生検により、関節内の尿酸の塊を確認します。さらに、関節の変形を確認するX線検査や、尿酸の塊や結石の有無を調べるエコー検査も行います。
高尿酸血症の治療方法
高尿酸血症の治療の目的は、痛風や尿路結石などの発作や合併症の予防と再発防止です。高尿酸血症の治療が高血圧や狭心症のように脳梗塞や心筋梗塞の一次予防に効果があるという報告は少なく、治療方法はまだ確立されていません。治療方針は、患者が痛風を起こしているか、合併症があるかによって大きく変わってきます。
生活習慣の改善指導
アルコール摂取制限とプリン体摂取制限の食事療法をベースに生活習慣の改善をはかります。
薬物療法
痛風発作を一度でも起こした場合や、尿酸値が9mg/dLを超えている場合は薬物療法を選択します。また、尿酸値が8mg/dL前後でも、高血圧、腎障害、尿路結石、狭心症、糖尿病、メタボリック症候群などの合併症がある場合には、リスクが高いため薬物療法を検討します。
痛風発作時の治療は、まず発作時の激しい痛みをNSAIDsなどの消炎鎮痛剤で和らげることが重要です。発作が治まった後は、尿酸値を6mg/dL以下にコントロールすることを目指します。一般的には、尿酸の合成を阻害する薬が使われますが、尿酸排泄を促進する薬もあります。ただし、排泄促進薬は尿路結石を悪化させる可能性があるため、慎重に選択されます。
高尿酸血症を改善するための食事
プリン体の摂取制限をする
肉や魚の内臓にはプリン体が多く含まれ、体内で尿酸に代謝されて尿中に排泄されます。尿酸が増えると血液中に蓄積されるため、プリン体を多く含む食品の摂取は控えましょう。また、プリン体は水に溶けるため、肉や魚のスープにも注意が必要です。
極めて多い | 300mg~ | 鶏レバー、マイワシ干物、イサキ白子、アンコウ肝酒蒸しなど |
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多い | 200~300mg | 豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジ干物、サンマ干物など |
少ない | 50~100mg | ウナギ、ワカサギ、豚ロース、豚バラ、牛肩ロース、牛タン、マトン、ボンレスハム、プレスハム、ベーコン、ツミレ、ほうれん草、カリフラワーなど |
極めて少ない | ~50mg | コンビーフ、魚肉ソーセージ、かまぼこ、焼きちくわ、さつま揚げ、カズノコ、スジコ、ウインナソーセージ、豆腐、牛乳、チーズ、バター、鶏卵、とうもろこし、ジャガイモ、さつまいも、米飯、パン、うどん、そば、果物、キャベツ、トマト、にんじん、大根、白菜、海藻類など |
水分をしっかりと摂る
尿量が増加すると尿酸の排泄が促進されるため、水分を十分に摂取しましょう。水分補給は普通の水やお茶、ウーロン茶などで行い、糖分の多い炭酸飲料やジュースは避けましょう。
アルコール量の調整
アルコールはその代謝過程で血清尿酸値を上昇させるため、控えるようにしましょう。特にビールはプリン体を多く含むので避けてください。
規則正しくバランスのとれた食事
主食(ごはん、パン、麺などの穀類)、主菜(肉、魚、卵、豆腐など)、副菜(野菜類)をバランスよく摂りましょう。ただし、果物には果糖が多いため、摂りすぎには注意しましょう。
塩分量にも気をつける
高血圧は痛風に多い合併症です。食塩の摂り過ぎは血圧を上げるため、薄味を心がけ、減塩に努めましょう。加工食品を含め、1日の食塩摂取量を6g未満に抑えるよう、献立や調理法、食品の選び方に工夫を加えましょう。